鬼の棲み処

普通な人「おーが」の記憶を逃がす場所、ただの備忘録

大和魂

昨夜からなんの連絡も気配も無く、マブダチのかみとmarlが来てんのやが、今日はチマチマ動き出したんが、昼前。
とりあえず天気もえぇし、どっか行こってな話んなって小考。


「ん〜…鯨食いに行く?」


なんせ、唐突に来たもんやから、なんも考えてへん。
俺が言うた「鯨食う」てのも、ほんま、ただの思いつき。
前にテレビで観たんやが、三重県和歌山県の県境辺りに、捕鯨港町があるんは覚えてたもんやから言うてみた。とにかく風がめっさ強いもんやから、かみとmarlも乗っけて出発。


晩飯食いに出る途中で昼飯てのもおかしな話なんやが、途中でカツ丼食うて、ひたすら国道23号を南下。
途中、42号線との分岐んなるから、直進のまま42号線をひたすら進む。
この道も途中にある尾鷲港まではよぅ釣りに行ったもんやから慣れたもん。
せなけど、慣れやんかみやmarlにとっちゃちょっとおかしな風景らしく、海ん向かってるはずなのに、ひたすら山ん中走ってんのが不思議らしい。
尾鷲港過ぎて、ちょいと行けば世界文化遺産とやらの熊野古道
もっと早い時間なら休憩してくとこやが、すでに夕暮れて事で先急ぐ。
ま、こない近いんやったらいつでも来れるわな。
熊野古道過ぎた辺りで気付いた。
鯨食わせてくれる店の住所出がけにググってケータイに入れたんやが、店名入れてへん。




ここでmarlのケータイ登場。




marlはゴソゴソケータイいらうと、飼い主様に店の住所聞いて、自分のケータイ渡す。




EZ助手席ナビ




でべそなmarlと自他共に認める方向音痴のかみの必需品。
俺は頑なにナビを否定してる側なんやが、ここはこのケータイナビの性能チェックと洒落込む事にする。
飼い主様が画面見ながらあれやこれな解析してっと、何やら言い出して、飼い主様が伝えてくれる。


「2㎞先斜め左やて。」


小賢しい、ケータイの分際で俺に指示しやが…また何や言うてる。


「1㎞先斜め左…さっき言うたやんな。」
「おぅ、『解ってんのじゃ』言うたって。」


「あと150mやて。」

もぅえぇっての。
結構手前から言うてくれてんのは、高速なんかやったら有り難いんやろが、下道やとウザこいだけやわ。
そんなん言いながら、とりあえず言う通り走ると、唐突に案内終了するとか言い出しやがる。
まぁ、ナビに慣れた人やったら当然なんやろし、こっちも知識はあるもんやから諦めはつくが、見渡す限りコンビニしかあれへんようなとこで放っぽり出されんのもどうかと《笑


しゃあないから、コンビニ行ってコーヒー買いがてら、店の兄ちゃんに聞いてみる。


「どっか鯨食わしてくれるとこあれへん?」
「鯨っすかぁ…。」
「あれ?地元やもん食うやろ?」
「いや、人に貰った時ぐらいしか食べないっすねぇ。」
「あ、そうなん?」
横に居たお姉ちゃん
「私食べた事なぁい。」


ま、こんな物らしいわ。
結局、兄ちゃんが近所の店思い出したんで行ってみる事に。
言われた道走ってくんやが、とにかく捕鯨港やったっちゅうのが売りの、元港町らしく、20時前やってのにほとんどの店やら施設は真っ暗。
兄ちゃんに聞いた店も見つかれへんまんま、町抜けかかる。
夜の健康ウォーキング中らしい2人のおばさま発見。車寄せると声掛けてみる。


「すんません、ちょお教えて欲しんやけど、どっか鯨食わせてくれるとこあれへん?」
「あ〜今の時間だと…しっぽ言う店か、いさなやなぁ。」
「それ、どの辺?」
「今来た道戻って、国道出る手前よ。」
「んっと、鯨んしっぽのオブジェか噴水かなんかの向こう?」
「しっぽが手前で…」
「違うわよ、両方共向こうの左手じゃない。」
「違うって、しっぽが左でいさなは右でしょ!?」


始まった、おばちゃん得意の“教えながら相談”
“意見まとまったら教えてくれ”ってなスタンスで聞いとらんと、こっちまで解らんよぅなる。


とりあえず、要所要所で確認しつつ、大体の位置聞き出すと、礼言うて、来た道へ戻る。
おばちゃんの言うた通り、国道から入った右手に居酒屋「いさな」を見つけ、「しっぽ」捜してちょっと進むとすぐ見つかった。
が、店は真っ暗。
しゃあないってんで「いさな」へ戻り、俺一人で様子見に行く。


「こんばんは。大将、ここ、鯨食わせてくれる?」
「鯨?何がえぇのん?刺身か?」


鯨て刺身で食えるんな。俺は甘辛煮みたいなんと、さらし鯨しか食うた時あれへんての。


「鯨やったらなんでもえぇねんけど。」
「3〜4品くらいなら出せるわ。」
「ほな、ツレ呼んできますわ。」


みんな呼び行って、店内入ると奥の座敷に陣取り、鯨料理に舌鼓。
今や高級食材の鯨ベーコン、解凍すると、身がグダグダんなるから言われた、ちょい冷凍残しの鯨の刺身、噛めば噛むほど味がしみ出る鯨の干物、食うんためらう見た目やが、味と食感は上等な鯨の肝臓。
最後に「サービス」言うて出してくれた、名前は知ってた鯨の皮“ころ”。こいつは、深海数100mも潜る鯨を守る分厚い脂身的なゼラチン質に、品のえぇ出汁が染みてビックリ美味い!

昔から日本人は鯨を食べていたみたいなんやが、こりゃ食い続けたくもなるわな。
かみと飼い主様は、ぽん酒呑んでご機嫌やが、marlは昼のカツ丼がたたって入れへん様子。




魂の求める限り、しっかり食うたった《笑




ご機嫌で閉店までしょうもない話して、帰路に就く。


帰り道は車が全然居てへんもんやから、信号の少ない42号線をマイペースで走らせる。
途中に見える海に映る月明かり見ながら風流な話したり、ちょっとした昔話交えながら楽しいドライブ。




やったら良かったのに。




なんでタダで帰って来やんかね、我が家のハイエースわ。
途中寄ったコンビニで俺が車降りようとドア開けると




「バキャッ、ガツッ。」




昨年、千葉&栃木行く道で事故して、そのまんま無理矢理吊って止めてたフロントバンパーの留め具部分が折れて、再起不能
いや、ドアと干渉してたんは知ってたんよ?
かみやらmarlに笑いを提供しつつ、有り合わせの紐やら針金で吊り直して応急処置。




marlよ、お手伝いありがと。
笑てるけど、近々おまえの物になるんやから、あとはよろしゅう《笑




かみいわく


ハイエースでこの山道をこんな勢いで走るのはおかしい。俺がアメリカンで峠攻めてるのを笑ってらんねぇぞ。」


ってなノリで山を越えつつ(対向車少ないもんやから、道幅一杯に使えたんが良かったわな。)ひたすら走る。
来た時は明るかったんと、道沿いの店が営業中やったもんやから気付かんかったが、結構な距離来てたらしく、ざっと片道200㎞。
しかも、俺の距離感てのが適当もえぇとこ。
なんせ、実際は10㎞以上あったとこを走りながら


「もぅちょいで行きに寄ったコンビニやで。」


言うてんのやから、ある意味方向音痴《笑



最高のダチとわいわいやりながら走ったもんやから、全然疲れへんかったけど、往復400㎞はお散歩ちゃうな。


ん?帰ったの?
なんのかんので日付変わってたわ。
で、かみとなんやかや話てて、結局寝たんは朝8時。
えぇ時間やろ?、




「なんや起きたらえらい熱あるんで今日は休みますわ。」




言うてる俺が居てる時間なんよ《笑>