化け物共
ダチのかみの単車VTXとmarlの単車CBR1100XXに、ほんのちょこっと乗せて貰た。
人の単車ん事なのに、“愛車”カテゴリなんもどうか思うが、このカテは旧おーがブログ「風になりたい」の延長やから、“乗り物”に関して書いてるて事で許してたも。
話は奴らが帰る日。軽く近所の峠攻めてから昼飯食うて帰るってんで、奴らは荷物積み込んだりして出発の準備。
まだ準備のはずなんに、Egかけて俺を呼ぶかみの声。
「おーが!ちょっと来いよ!」
見れば駐車場の端にVTX寄せて、前には数mの通路がある状態。
「いいから乗ってみろよ。」
おまえ、簡単に言うけど、1800㏄数百㎏の車体を支える自信があれへんっての。
それに、単車乗りてのは、自分の愛車に人が乗るんを嫌がる言うか、神聖で大切なもんや思てるやろから、気軽に乗ってえぇもんかいう迷いもあって、ひきつる笑顔で丁重に断った。
するってぇと奴め、今度は飼い主様を呼びやがる。
「俺のは大丈夫だって、シート低いから足届くもん。」
どうやら俺が気にし過ぎやったらしく、ほいほい出てった飼い主様に跨らせてる。
「アクセル開けなくていいから、ゆっくりクラッチつなげば動くよ。」
言いながら、車体倒れへんよう、横から支えてる。
「ヴォロロロ…」
どうやら、最近の単車は、アイドリングのまんまでもEg止まれへんらしく、アイドリングと変われへん音のまんま車体は進み出し、突き当たりで止まる。
確かにシートは低いもんやから、地べたに足は着いてるが、アメリカン特有の足を前に投げ出す形のステップに足が届かへんかったらしく、飼い主様苦笑い。
や〜い、チビぃ〜!《笑
かみがVTXを元の位置に戻しながら叫ぶ。
「おら、おーが!」
もぅね、勝手に理解した。
こいつは俺やら飼い主様をダチと認めて、“自分の単車の世界”てのを知って欲しんやな、と。
そうなりゃ話は別、なんの遠慮も無く外へ出て跨る。
軽く、ほんのちょっとアクセル開けてゆっくりクラッチつなぐと、車体はゆっくり動き出す。
足をステップにかけようとしたんやが、場所が解らん。
目視で見つけて、素早く足かけて
「さて、俺も男の子(今年35歳)。飼い主様より乗れるとこみせやんとな。うひひ…軽くご近所1周!」
なんて企んで曲がろうとした瞬間、全てを悟った。
「何故奴は前を空けた状態にしたんか。」
まぁ、単車なんてのは、ある程度の速度になれば、勝手に直立しようとするもんやから、曲がる時は減速して、直立する力を押さえ込んで曲がるんが原則。
せやけど、停止寸前の今の状態やったら車体倒すより、ハンドルこじる感じで曲げた方がえぇ“はず”やった。
左足出して、ハンドル曲げた瞬間
傾きかけた車重が一気に足にかかる。ヤバいっての!
俺も昔はエリミネータ900なんてクソ重い単車乗り回してた時期があったんやが、感覚的にエリミの比やあれへん。
左足で支えるんが精一杯で、照れ笑いしながらスタンドを立てる。
「よぅこんなクソ重い単車乗ってんなぁ。」
照れ隠しに軽く悪態つくんが精一杯やったわ。
単純に足腰弱ってるんやろ?てな声が聞こえてきそうやが、そんだけやあれへん思うわ。
さすが、“選ばれし者のみ乗れる単車”やわ、選ばれてへん俺には無理やと、次の機会があったとしても絶対乗らんと決めたわ。
ってか、こんなんですり抜け?峠?
化け物め。
で、少々へこたれ気味に単車をかみに任せると、次はmarl。
「こっちなら軽いし大丈夫だろ。」
いつの間にやらアイドリングしてやがる。今時の単車らしく、恐ろしく静かやわ。
汚名挽回とばかりに跨り、ギアを入れ、軽くアクセル開いてクラッチをつなぐ。
すぐに突き当たりになるもんやから、「今度こそ!」とばかりにCBRを曲げにかかる。
軽いとか言うたんはどこのどいつだ!
とりあえず曲がんね。しゃあないから足着いてゆっくり向き変えたんやが、Uターンすんのが無理。
「向こうで回って来るわ。」
言い残すと家の前の道へ出る。再度ゆっくり曲がった時
「フォンオァァァン!!」
うっかりアクセル開けちまった。
ほとんどクラッチ切れてたから良かったものの、それでもグイッと前へ出ようとしやがる。
なんつぅ吹けの良さ!どんだけ回るEgやねん!
すっかり意気消沈。これが怪物、怪鳥言われるモンスターマシンの片鱗。
こいつで峠走ったり、雨の高速スラローム?どんなアクセルワークやねん。この
化け物め。
もう今時の単車には乗れへんよ。
特にデカいのんわ。
パワーだけやったら昔乗ってたNS400で知ってるはず。
Egの吹けやったら、初めて乗ったGSX-Rで解ってるはず。
はずやってんけど…
正味、おっかない。
奴らは「慣れ」とか言いやがるけど、俺は慣れる前に
確実にちびる。
駐車場の片隅で開いちゃってるCBR-F直して、大人しくチョロチョロ走る事にするよ。